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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる16年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

パートと正社員の違うところ

ある方からご質問を受けました。
今まで正社員でしか働いたことがないのでよくわからないのだけれど、パートタイマーと正社員の違いってどういうところでしょうか。
これは、一言で言うのは結構難しいですね。
何故ならば、雇用契約は労使間の合意により決められるので、労働条件はその会社によってかなり差があるからです。
近年では、パートタイマーを会社の重要な戦力と位置づけて正社員並みの待遇をしている会社も一部にはありますし、逆に簡単に切り捨てられる都合の良い安く使える労働力と考えている会社もあります。
一般的にはどちらかというと後者の方になるでしょうか。
そういう視点で考えると違いというのは歴然とあります。

いわゆるパートタイム労働法(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律)では、正社員より短い時間で働く労働者を短時間労働者(パートタイマーという文言は法律上はありません)としていて、短時間で働く人を世間でいうパートタイマーとしてイメージしているようです。
しかし、フルタイムで働いている人を「パートタイマー」と称している会社もありますので、労働時間の長短はそれほどの違いにはならないかもしれません。
大きな違いは、これも会社により違いがあると思いますが、一般的には正社員は雇用期間について定めがありませんが、パートは6か月とか1年とか期間の定めがあるのが普通です。
期間の定めがある場合、期間が満了すればそこで契約は終わりとしてもいいということになり、身分的には期間の定めがない正社員と比べて不安定になりますね。
この場合、厚生労働省から指針が出ていて、期間の定めのある契約の場合、契約更新があるのかないのか、その場合の基準(本人の勤務態度、会社の経営状況を見て決める等)を契約する最初に示すようにと指導しています。
また、更新を繰り返しているとか、仕事内容が臨時的ではなく恒常的であるとか、雇い入れの時に更新を繰り返して長く勤めることも可能であると思わせるような言動があったとか、実態を総合的に見て期間の定めのない契約と同視できるとした裁判例もありますので、契約更新の有無などについてはトラブルのあるところでもあります。

賃金についても正社員は月給、パートは時給が多いでしょう。
会社によって、家族手当等の正社員に出している手当などをパートには出さない場合も多いです。
正社員の給料を時給に換算すると多分パートより高くなっているのが一般的だと思います。
パートは、昇給などもない場合もありますし、あっても時給につき10円単位だったりすることも多いですから、この点でも正社員と比べると不利だと思います。
賞与は会社によってある場合もありますが、正社員よりは額は少ないでしょうし、ない場合も多いのではないかと思います。
退職金もない場合が多いと思います。
なお、前述のパートタイム労働法では、「昇給、賞与、退職金」の三つについての有無は、文書で示すことが義務づけられています。

社内での昇格、昇進なども一部会社を除けばおそらくないと思います。パートタイマーはもともと責任のない立場の人という位置づけがなされている場合が多いからです。
福利厚生、教育訓練などについても正社員と差をつけている場合が多いでしょう。
福利厚生については、パートタイム労働法で、給食施設、休憩室、更衣室の三つについては、差をつけずパートタイマーにも利用させることが義務づけられています。
教育訓練についても職務内容が正社員と同じなら同じ訓練を受けさせるようにとなっています。

労災保険は雇用形態、労働時間の長短関係なく、事業所に雇われていれば(法律上の労働者であれば)適用になりますので、パートタイマーでも業務上、通勤途中の事故等についての補償は受けられます。
雇用保険は、週の労働時間が20時間以上で雇用期間が31日以上であれば加入することになります。
社会保険(健康保険、厚生年金保険)は、正社員の概ね4分の3以上の労働時間であれば加入することになっています。
社会保険関係については、配偶者の扶養家族でいた方が負担が少ないと考える人も多いので、自ら時間調整をしているパートタイマーの方も多いようです。
長くなりましたので、明日また続きを書きたいと思います。

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