おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる11年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

「通常の労働者と同視すべき短時間労働者」とは?

昨日、記事にしたパートタイマーについての小冊子で「判例なども入れてください」とのご要望があるので、関連判例なども見ています。
最近の判例で初めてパートタイム労働法8条1項(今年4月改正施行前の条文)についてが争点の一つになった判例があります。(ニヤクコーポレーション事件大分地裁判平25.12.10)
もともとは、期間の定めがある有期契約の労働者が契約更新されないことについて、契約更新されないのはおかしいとして地位確認(契約は更新されていないとおかしいので自分は契約が続いているはずとする主張)や更新拒絶に伴う慰謝料などを請求して、それが認められたものです(会社側は控訴)。
請求の中に、正社員と同様な業務をしているのに短時間労働者であるということだけで、賞与額が年間40万円以上、休日が30日を超える格差、退職金は無し(正社員は有)という格差による損害も請求しています。
その根拠となるのが前述の改正前の8条1項で、裁判では労働者の主張がほぼ認められています。

原告労働者は会社の規程の変更により平成24年4月からは正社員と同じフルタイム(1日8時間)となっていますが、その前3年間は1日7時間勤務だったため、パートタイム労働法の適用対象者である「短時間労働者」でした。
裁判所は、この3年間の賞与差額と休日労働をした日についての割増賃金の支払いを命じています。
原告労働者は期間の定めがある契約をしているタンクローリーの運転手です。
平成16年10月から6か月間と、平成17年10月から6か月間期間社員として被告会社に雇用された後、平成18年4月1日以降同社の準社員となり、平成25年3月まで1年ごとの契約を更新し続けてきました。労働者側は、平成23年2月にパートタイム労働法違反を労働局に主張して、会社は指導を受けるのですが応じませんでした。
その後労働者側は平成24年5月に労働審判を申し立て、パートタイム労働法違反とされ賞与の差額相当分の支払い(120万円)が命じられましたが、会社側が異議申し立てをしたため、訴訟に移行したものです。最終的には給料、賞与差額、慰謝料、休日出勤割増賃金等で230万円+利息、訴訟費用の半額の支払いを命じられたもので、会社は控訴しています。

根拠となった法律のパートタイム労働法8条1項に書いてあることは、期間の定めがなく、職務の内容(責任や権限、残業の有無など)配置(異動、転勤、昇進、昇格など)が正社員と同じ短時間労働者については、労働条件について正社員と同じにしなければならないということが書いてあります。
「期間の定め」については、仕事の内容、更新の回数、通算期間、契約管理の状況、雇用継続の期待を持たせるような言動、他の労働者の更新の状況などからみて、期間の定めがないと同視できる労働者も含まれるため、原告労働者は有期契約でしたが、期間の定めがないと同視できると判断されています。
なお、今年の4月からこの「期間の定めがない」という条件が除外されて改正施行されています。

会社側は、就業規則上、正社員は転勤、出向があること、正社員はチーフ、グループ長、運行管理者、運行管理者補助などの役職に任命すること、事務職に転換して課長等になること、緊急の対処が必要な業務、対外的な交渉が必要な業務に従事すること、などで準社員にはこれらはないから、職務の内容、配置の転換が違うと主張しました。
しかし、裁判所はことごとく否定しています。転勤、出向がほとんどなく特に平成14年以降九州管内では0だったこと、平成24年7月に準社員規程が変更になる前には、準社員が運行管理者になったときの手当などが記載されていて、実際に任命されていたこと、事務職へ転換した正社員はいることはいるが、非常にまれなこと、緊急の対処や対外的な交渉などは、もともとが事務職の仕事であり、正社員ドライバーでもそれをするのはベテランに限られるなどごく少数であることなどにより、正社員と準社員との差は職務内容、配置についてなかったと判断しています。

就業規則などで違いを明確にするのはよいのですが、実態が伴っていなければ、結局裁判などになった場合に実態で判断されるということだと思います。職務内容や配置について正社員とパートの違いを明確にしてくださいとよく言いますが、実際の現場ではいっしょに働いている以上、明確に線引きできない場合もありますので、会社としては配置などにより明確にするしかないでしょう。
しかし、それも事業所が一つで転勤などないという小規模事業所の場合は難しく、考えさせられる判例だと思います。

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