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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる11年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

時間単位の有給休暇

関与先からの質問をきっかけに、時間単位の年休について考えることがあり、ちょっと書いておこうと思います。
年次有給休暇(以下年休とします)についての細かいことは過去記事に書きました。(
参照)
さて、質問の内容は有給休暇を細切れに取得できないかということです。お子さんの保育園の送り迎えで通常は定時で間に合うが、何かの都合で15分、20分と遅刻、早退せざるを得ないことがある。頻度としては週に1回ぐらいだが、それでも欠勤になり賃金をひかれてしまうのは困るので、有給休暇としてその時間を認めてもらえないかとの要望に対して、どう回答したらよいかという内容です。
ご質問のあった総務担当者の方も賃金計算上、あまり細かいのは困る、せいぜい時間単位だし、また、他の社員もどんどん時間単位で取得されるのも事務管理上困る、育児のためだけならとのお考えです。

そもそも年休とは、労働者が完全に労働から解放されて身心ともにリフレッシュするための休暇という法律的趣旨があります。ですから、法律では、最初1労働日単位で取得を認めるように決められていました。できれば多少連続してとるのが望ましいともされています。
「半日単位の取得ができるか」という質問に対しても、行政当局は1労働日単位であるから使用者は労働者に半日単位で付与する義務はない。」としています(昭和63.3.14基発150号)。
義務はないけれど、やるのは使用者の裁量でできるとの解釈ができますから、就業規則等で半日単位や時間単位の取得を認めている会社もあると思います。
ここで、気をつけなければいけないのは、時間単位についての付与です。
労働基準法が改正になり(平成22年4月1日施行)、現在では条文上に時間単位で年休の付与をする場合の要件
が法制化されています。
年休の取得率が低いことや、労働者側の利便性を加味して改正されたものですが、要件をつけているということは、やはり、細切れ取得はあまり好ましくないとの趣旨なのでしょうか。
労使協定を結び、年間5日以内とするなどの要件です。協定で決める事項も厚生労働省令で決められています。その要件にあわなければ違法となりますから、以前より実行していた会社は法定の要件を満たしているか気をつけなければいけないということになります。

では、ご質問の会社も労使協定を締結すれば当該社員の要望をきけるかというと、年休の「性質」というものがひっかかってきます。
会社としては、時間単位年休の取得目的を育児のために限定したいわけですが、年休の使用目的を使用者が限定することはできません。

要件を満たせば労働者に当然に発生する権利ですから、条件をみたした労働者については、いつ取得しようと、何に使おうとその人の自由で、会社は、時季については時季変更権により変更してもらうことも場合により可能ですが(個別具体的にこれもかなり厳しい条件とはなります)、利用目的については一切口をはさむことはできません。
というわけで、労使協定で対象労働者を決めることになっていますが、これは業務の都合等で一斉に作業をするような業務にはなじまないだろうとの配慮であり、育児をしている労働者などと目的を限定的にするような決め方はできません。

ですから、育児をしている人に年休の範囲で時間単位の休暇を付与することは難しいので、時間単位で利用できる育児目的休暇制度の創設なども考えられます。
これも有給にしないと無給は困るという当該社員にとっては意味がないのですが、会社側の負担は増えてしまう。なかなか難しい問題です。
今後、よくご相談していきたいと思います。



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