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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる12年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

社内旅行を有給休暇で回避?

当地は、今月すっきり秋晴れとなったのは何日あったかな?と思うほど、雨やくもりの天気が続いています。
今日も朝からくもり時々雨という感じで、週末はまた台風がくるかもしれないとの予報です。
夏も思いの外速く過ぎてしまい、秋らしい日がなく冬の寒さがやってきたり、今年の四季はだいぶくずれちゃったねと思う昨今です。
さて、昨日、執筆の打ち合わせでお話しした編集者の方から、ちょっと面白いなと思うお話しがありました。
近年、社内旅行などへの参加を嫌う人も増えていて、特に休日などに行うと「休日出勤になるのではないか?」といった疑問もあり、その点について労働時間となるかどうかの判断のお話しをしたときです。強制参加(参加を強要する、もしくはそのような雰囲気が強い、参加しないと欠勤扱いにしたり人事考課が悪くなるなどがある)の場合は、「使用者の指揮命令下」にある時間ということになり、労働時間となります。
休日に行けば当然休日出勤手当が必要になるケースもあるでしょう。しかし、全くの自由参加で参加するかしないかは本人の意思次第で、それに関する欠勤扱いなどの一切のペナルティーがない場合は、労働時間とはなりません。
ただし、幹事役などを指名されて皆さんのお世話や事前準備をした人については、会社の指示で行っているわけですから労働時間としてカウントします。

その編集者の方の友人が、社内旅行に行きたくなかったので、その日に有給休暇をとって行かなかったと言っていたそうです。
その会社が強制的に行かせていたのかなどの詳しい事情はよくわからないとのことでしたし、数年前のことをふと思い出したとのことですから、現在は、その会社も状況が変わっているかもしれません。
「社内旅行回避の奇策」かなと、ちょっと苦笑してしまいました。
他にもいろいろお話しすることがあったので、その場はそれほど深く考えなかったのですが、帰ってから、休日出勤と有給休暇というのは意外と問題点をはらんでいるかもしれないと思い直しました。

まず、休日と有給休暇とは全く別もので別枠で考える必要があります。
おさらいしておくと、「休日は労働義務がない日」ということで、最初から働く必要がない日です。
働いてもらうのは、会社側のなにがしかの理由による業務命令で働くということになるでしょう。
しかし、もともと義務のない日に働いてもらうためには、それなりの要件が必要です。まず、就業規則等で「業務の都合により休日に業務をさせることがある」「正当な理由がない限りは労働者側はそれを断ることができない」と規定しておき、労働者側に周知されていること。
法定休日に労働させる、もしくは、休日出勤したことにより1日8時間1週40時間の法定労働時間を超えることがあるはずですから、当然36協定を締結して届け出をしていることが要件となります。
業務命令が出された時点でその日は「労働義務のない日」から「労働義務のある日」に変更となると考えてよいでしょう。ですから、通常、労働者が拒否すれば「業務命令違反」ということになります。

ここで、問題となるのは、労働者側が拒否するために「正当な理由」を示したときの判断です。会社側がいつ命令したのかということなども含めて、労働者の生活等について不当に権利を侵害するかどうかを比較衡量して判断することになると思います。
育児、介護、通学などは「正当な理由」となるのではないでしょうか。

他方、有給休暇は「労働を免除する日」です。かつ、働いたとみなして賃金を支払う休暇です。法定の休暇ですから、要件をみたせば正当な権利としていつ取得しようと何に利用しようと労働者側の自由とされています。会社は時季については時季変更権がありますが、かなり限定的と考えてよいでしょう。
会社で手続きについて決めるのは自由ですから、3日前までに申し出なければ取得できないとする規定などもぎりぎり認められると思います。あまりその期間が長いと権利の侵害とみなされるでしょう。

さて、「休日出勤」を命じられた場合、「じゃ、その日は有給休暇を取得して休みます」とした場合、これはなかなか難しいです。有給休暇について利用目的などについて会社は何も言えませんから、「その日に何をするんだ?」とは問えません。しかも、有給休暇は法定の労働者の正当な権利です。
業務命令と正当な権利とどちらが強いか。うーん、後者でしょうか。
労働基準法という公法に規定される強い権利が有給休暇、「業務命令」は民事上の会社側の権利です。
ただし、先述の手続きの仕方などに違反していれば有給休暇を認めないということも可能になります。いつ、命令がだされたかなども考慮する必要があり、個別のケースバイケースで、よくよく事情をみてみないと即断はできないです。
できれば、法律論をふりかざすのではなく、互いの事情を理解し合うことを日頃からしておくとよいのではないでしょうか。特に、会社側は説明と協議を尽くして円満に解決する努力をしていただきたいと思います。
と、長くなりましたが、そんなことを考えた曇天の日なのでした。


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