おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる11年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

パワハラの看過は許されない

さいたま市職員だった男性がうつ病になり自殺したのは、職場のパワーハラスメントが原因だとして両親が訴えた裁判の控訴審判決が先週ありました。
一審のさいたま地裁では訴えを認めてさいたま市に1300万円の賠償命令をだしましたが、東京高裁ではさらに市側の責任を重く認定して1900万円の賠償額としました。
自殺した男性は職場で継続的に暴行や暴言を受けていて、上司に被害を訴えていたそうです。裁判では、上司が適切に対応していれば自殺は防げたとして、判決前に和解も提案したようですが、市側が拒否したため判決となったようです。
何故、和解を拒否してまで争ったのか市側の言い分が報道されていないのでよくわかりませんが、亡くなった男性のお父さんによると、市側からはいまだに謝罪がないとのことです。
そんなことも裁判官の心証に影響して一審より重い判決内容となったのでしょうか。
亡くなった男性は41歳だそうですが、今後65歳まで働いたとして逸失利益としては賠償額がかなり少ないようにも思います。裁判というのは、判決文を読んでみないとわからない部分が多いです。
判決文を読まないと、この裁判について軽々には書けません。
というわけで、以下はパワーハラスメントの一般論として書いてみたいと思います。


まず、パワーハラスメント(以下パワハラ)とは何かというおさらいです。職場内での関係性の優位性を背景に行われる身体的精神的苦痛を与える、または職場環境を害するような言動というのが一般的な定義で、「関係性の優位性」というのは、上司と部下、先輩と後輩などにとどまらず、専門知識の有無、仕事の能力、人間関係そのものなども含まれます。ですから、部下から上司に対するパワハラなどもあり得ます。
ちょっと厳しく指導するとパワハラになるのかと、心配する上司もいるようですが、業務に対する適切な指導の範囲を超えていなければパワハラとはなりません。
その線引きは、今起きている事例について具体的な業務内容について指導をするのは適切な指導となりますが、「こんなこともわからないのか、バカじゃないの?」となると、業務から離れてその人の人格を傷つける言動ですからアウト。身体的特徴をとらえて攻撃する「このハゲ―ーーー」はその典型ですが、業務とは何の関係もありませんからアウトです。
また、「こんなことが続くようなら辞めてもらうしかないね」も本人の職場環境を害する言動ですからアウトです。能力不足で辞めてもらう場合にも、丁寧な指導を繰り返す、適切な職務を割り振るなどの手順を踏んだ上で、就業規則の規定に基づき行わなければなりません。

パワハラについて法律的規制はありませんが、使用者には職場環境に配慮し、労働者が健康で安全に働けるような場を提供する義務がありますから、多くの裁判例では、パワハラが認定されると使用者の安全配慮義務違反が問われます。
パワハラのない職場を作るのは経営者の意識一つだと私は思います。パワハラは絶対にしてはいけない、パワハラをしたら懲戒処分とするということを就業規則等に規定して明確にすることです。
何がパワハラとなるかも規定する必要があります。その上で、何が適切な指導となるかについてなどについて研修等で周知する必要があります。
また、社内(社外の専門家等でもよい)に相談室などを設けて、パワハラが起きた場合は、迅速に適切に対応することです。
冒頭の裁判では、上司が適切な対応をしなかったとしているようですから、最初に相談を受けたときの対応が非常に重要になってきます。
日頃から、社内で意識を共有しておくことが大切でしょう。ポスター一枚貼っておくだけでも意識は変わります。経営者の方には是非、パワハラのない職場環境を実現していただきたいと思います。
厚生労働省では、関連の専門サイトを作って様々な資料をダウンロードできますので、参考になさるとよいと思います。(
参照)

PageTop

コメント


管理者にだけ表示を許可する