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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる12年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

育休中のケアを企業にも

新聞の読者の投書欄は見出しを見て興味のあるものだけ目を通しています。
今朝、「育休の肩代わり、過重負担では」という見出しに目がとまり読んでみると以下のような内容(概略)でした。
「夫が一生に一度と楽しみにして休暇取得の予定だった娘の小学校の入学式出席が、直前に育児休業を延長した同僚女性がいて「代わりがいない」と叱責されて出社せざるを得なかった。この同僚女性が育休取得中、夫は仕事のほとんどを肩代わりして過労となり帯状疱疹を患ったこともあった。
自分の身辺にも育休中の人のカバーのため過労で倒れた人がいる。マタハラと言われるのを恐れて、なかなか言えないが、男性社員や独身の社員にも人生があり家族がいる。
それぞれの事情があるのはわかるが、自分は、育児は片手間にはできないと考え正社員を辞め、経済的には大変だが子どもの成長に寄り添うことができた。育休中の人は同僚男性らの負担になっている現状に気づいてほしい」
うーん。投書者は素直な気持ちをそのまま書いていらっしゃると思いますが、私はいろいろ考えさせられました。


「育児・介護休業法」が創設されたのは1995年(平成7年)です。20年あまりのうちにどんどん充実してきて今年の10月1日からは最大2歳まで取得が法律上可能となりました。
厚生労働省の雇用均等基本調査(平成28年度 
参照)によると、事業所規模30人以上の場合、95%が育児休業の社内規定が整備されています。
5人以上の規模でも77%が整備されています。法律で決まっていることですから、社内規定がないとしても取得が可能ですが、規定が整備されているということは、それだけ社会的に周知されていて、経営者も理解している休業であると考えることができます。
同調査によると、平成26年10月1日から1年間の間に在職中に出産した女性がいた事業所で、同期間中に育児休業取得者又は申出者はは86%です。
有期契約雇用者も78%です。今や、女性の場合は、育児休業を取得するのが当たり前、出産しても仕事を続けるまたは続けたいという女性が多数派であるということになります。

では、育児休業取得者が休業中の社内体制はどうなのかということは、残念ながら調査されていません。冒頭の会社のように多くの場合、周りの同僚がカバーするということになるのでしょうか。大企業などでは代替要員を確保する体制等も整備されていることと思いますが、中小企業ではなかなか余裕がない場合も多いと思います。
本来は、育休取得者が安心して気兼ねなく休業できる体制を整えることが理想だと思いますが、中小企業の場合、そんなにたくさんの人が取得することがないということもありますし、経済的な面もあり、特に正社員の男性や独身社員の負担が増えてしまうというのが現状なのかもしれません。

問題は「お金」でしょうか。
現在、育児休業取得者については要件にかなえば雇用保険から給付が受けられます。企業については、育児休業中に代替要員を確保した企業についての助成金がありますが、一人につき15万円で、それも休業者が復帰してからの支給となり、あまり旨みがあるとは思えません。
もう少し、簡単に額もそれなりの給付を企業に出すわけにはいかないのでしょうか。そうすれば、過重労働にならないように人を増やす、IT化して効率を考えるなどができるのではないか。

また、冒頭の投書にあるように「仕事を辞めて子どもの成長に寄り添いたい」と考える人はそんなに少数派なのだろうかということにも多少の疑問を感じました。
男性、女性に限らずそういう人は結構いると思います。しかし、雇用システムは新卒一括採用した後、いったん脱線するともとの線路にはなかなか戻れないシステムです。
子どもが大きくなってから再就職しようとしてもなかなか思うような職はなく、きらびやかな学歴や経歴、職歴のある人でも、特に女性はなかなか思うような職につけないのが現状です。
ですから、なるべく辞めずに頑張ることが最良の選択肢となってしまいます。選択肢はたくさんある方がいいと思いますが、そうなっていない。
そうこうしているうちに、冒頭の女性のように夫が過重労働になり、家族のイベントもないがしろにされてしまう理不尽さに対する怒りを育児休業を取得している女性に向けてしまい、「女性の分断」が起きてしまう。
育児休業について、労働者に対するケアは女性に限ればだいぶ進みました。厚生労働省は男性に対しても取得率を上げたいらしいですが、企業に対しても何らかのケアを考えないとなかなか難しいのではないかと、投書を見て感じたのでした。


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