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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる12年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

どうなる?高度プロフェッショナル制度

当地は今週月曜日から火曜日にかけてに大雪(当地にしてはです、雪国の皆様すみません)が降り、当事務所も早じまいしたり、その後雪かきに追われたり(雪かきしたのは夫です)と大変でした。
まだまだ、雪が残っていますが、ようやくいつもの日常がもどってきました。
私も雪道を歩けるようにあわててスノーブーツを買いました。暖かいし、なかなか調子がいいです。
さて、随分たな晒しになっていた労働基準法の改正案が国会で審議されるようです。
安倍首相は70年の労働基準法の歴史の中での大改革と語っているようですが、「大改革」とは時間外労働の上限規制をようやく、それも過労死ラインぎりぎりに設定したことなのか、それとも高度プロフェッショナル制度により、労働時間に見合った賃金を支払うという考え方を根底からひっくり返すことなのか、どれをさすのだろうかと私にはよくわかりません。
今後、国会で論戦となるであろう高度プロフェッショナル制度について、今日は書いてみたいと思います。


労働基準法では1日8時間以内、1週40時間以内という労働時間の原則が決められています。変形労働時間制などにより抜け道があるにはありますが、原則はそうなっていて、それを超えた場合、また深夜(夜10時から翌朝5時まで)に働いた場合、法定休日(1週1日、または4週間に4日)に働いた場合は決められた割増率の割増賃金を支払わなければなりません。
長い時間働けば、それに比例して受け取る賃金額は増えるのが普通です。
しかし、労働者が費やした仕事の時間と仕事の成果は必ずしも連動しません。例えば、能力の高いAさんがさくさく仕事を終わらせ残業時間0の場合と、ちょぴり能力の劣るBさんが1時間残業した場合では、後者の方が賃金額が増えるという矛盾が生じます。
実際には、企業内で能力評価がなされ、仕事のできる人については多分最終的には能力に見合った処遇がされるのではないかとも考えられますが、働いた時間に見合った分の賃金を支払うとして、労働時間と賃金が密接に連動していることが長く行われてきたことでもあります。

労働基準法の前の法律が「工場法」であり、ラインで一斉に働くことが前提としてあったということもあるのかもしれません。
しかし、社会の仕事が複雑となり必ずしも労働時間と仕事の成果が連動しない仕事もでてきたことも事実です。
高度プロフェッショナル制度では、省令で仕事の内容を限定することになっています。金融商品のディーリング業務、アナリストの業務、コンサルタント業務などそれなりの能力を持った人しかなれない職務に限定し、また年収も1075万円以上としています。
その上で本人の同意や労使委員会の設置、健康確保措置など厳しい導入要件も設けていて、会社の規模などもある程度ないと難しいのではないかと思われます。
この制度の対象労働者になると、労働基準法の労働時間の規制の対象外となり、残業をいくらしても残業代の支払いはなく、8時間、40時間など時間に縛られずに働くことができるようになります。

どちらかというと、企業側に都合の良い制度なのではないかなと思いますが、時間に縛られたくないと考える労働者にとっては良い制度となるのでしょうか。
もし、この制度を導入したとすると、労働者は成果を求めて結局長時間労働となるのではないか、それとも、時間に縛られず今までのように決まった時間会社にいないですむから、楽ちんになるのでしょうか。でも、今まで8時間かけてやっていたことをもっと少ない時間でできるようになるとは思えないし、長時間労働を是正することが喫緊の課題としている現政府にとって、導入を急ぐ理由は私にはわかりません。労働時間上限規制をする代わりに企業側に配慮したのかもしれないと思います。
労働時間と成果は必ずしも一致しないとはいえ、前述のように労働者に対する評価というのは、時間のみではなく、様々な総合的なところで案外うまく行われているのではないか、きちんとした事業主さんは、労働者が思う以上にしっかりと仕事ぶりを見ています。
けして労働時間だけで評価をしたりはしないというのが私の拙い経験からもわかります。
そうであるならば、働いた時間分の賃金はきちんと支払いつつ、評価すべき人に対しては別の評価軸で評価するはずです。そうすればこのような制度は必要ないのではないかと私は思っています。

「働いた時間分の賃金は払う」この原則の中には、労働者の時間を提供してもらって仕事をしてもらっていることに対する「代償」も含まれているのではないかなと私は思います。大げさに言えば、「人生の時間を削って仕事をしている」のですから、そこに関しては能力の有無は関係なく、等しくみんな自分の時間を提供しているのであって、それに見合った賃金は支払われるべきだと思います。高度プロフェッショナル制度は、私にはどうもすっきりしない制度に思えます。
長時間労働を助長する方向にいかないでほしいなと思います。

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コメント


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働き方改革というか働かせ方改革としては、あれやこれやと新しいことを導入する前に、年次有給休暇の取得を促進するとか、名ばかり管理職を廃止するとか、現行の法制度内でやるべきことをやるのが先決ではないかと愚考します。

ひますけ | URL | 2018年01月27日(Sat)10:34 [EDIT]


ひますけさん

ずいぶんお返事が遅くなり申し訳ございません。

おっしゃるとおりですね。

この法案要綱をみると、有給休暇を必ず年5日以上取得
させる案が入ってはいますが、具体的な取得率を決めた
方がいいと思いますし、有給休暇100%取得企業については
税制優遇措置をとるとか、そのぐらいしてもいいのかなと
思います。
「働き方改革」という名前だけが先行している雰囲気ですね。

| URL | 2018年03月09日(Fri)11:47 [EDIT]