おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる11年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

パートと正社員の手当格差

最近、長年続けられてきた雇用管理について、大きな見直しを迫られている時期ではないかと感じます。2008年(平成20年)3月から施行され、その後何度か改正されている労働契約法など法律の整備も進んでいます。
労働力人口が減少していく中、人手不足感が強まっていることもあり、会社にとって都合のいい労働者だけを集めようとしても集めることができないという社会環境の変化もあります。
特に、正規雇用と非正規雇用の差別的待遇については、裁判例なども出てきて各企業は今後見直しをせざるを得ないのではないかと思います。
以前、過去記事にしたタンクローリーの運転手の場合、就業規則上は業務内容などについて正社員と準社員の区別がきちんとなされていましたが、結局、実態が伴っていなかったということで、賞与などについての待遇格差に合理性がないと判断されました(
過去記事参照)。
最近、報道された事例では、労働契約法を根拠として、通勤手当と皆勤手当の差別的処遇を不合理と判断しています。


報道によると、卸売市場で働くパート社員4人が魚の下処理など正社員と同じ仕事をしているのに、通勤手当が正社員の半額で一律5千円(正社員は1万円)、また、就業規則の改定により皆勤手当をパート社員のみ0にしたのは不合理な差別だとして訴え、それが認められたとのことです。
前者の通勤手当については、パート社員も自動車通勤で通勤の実費は1万円超えていたということで、通勤するための費用はパートも正社員も同じなので、労働契約法20条にある期間の定めがある労働者に対する不合理な差がある労働条件とされたと報道されています。
また、パート社員のみ皆勤手当をなくしたのは、就業規則の不利益変更にあたり、同法10条違反との判断を出しています。
10条では、就業規則を労働者にとって不利益に変更する場合は、労働者に周知してその変更により受ける労働者の不利益の程度、変更の必要性、内容の相当性、労働者側に対する説明等段階を踏んで行わないとだめですよということが示されています。

不利益変更で最も大切なのは労働者側が納得して同意しているかということではないかと思います。
同法8条では労使の合意により労働条件を変更できるとしていますから、たとえ不利益な変更であっても労働者が合意すればできるのですが、裁判まで起こされたということは全然合意も納得もしていないということでしょうし、多分、必要性、相当性なども合理的な説明ができなかったのでしょう。
同法20条では合理性の判断基準として、業務の内容、責任の程度、配置の変更、その他の事情を挙げています。魚の下処理の作業というのは誰がやっても同じ作業でしょう。会社側としては責任の程度、配置の変更などが違うと主張したと思いますが、裁判所は手当の内容について考慮したのではないかと思います。通勤するのは仕事に関係なくみんな同じなのでその費用について差別するのは合理性がないと判断したのだと思います。
私の関与先でも正規社員と非正規社員との間で、通勤手当の差をつけているのはありませんが、手当の種類や内容に差をつけている会社もあります。今後精査していかなくてはいけないし、新規に作成する場合には、労働契約法を反映して不合理な差別的待遇のないように注意しなくてはいけないなと思います。
私としては、時間のあるときに、随分前に作った自分の理想とする就業規則を見直して、いろいろと改正された法律をしっかり反映したものを一つ作っておかなくてはいけないなと思いました。



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