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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる12年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

同一労働同一賃金への道のり

ある執筆の ご依頼に関連して厚生労働省で出している「同一労働同一賃金ガイドライン案」を熟読しています。
「同一労働同一賃金」とは職務内容が同一または同等の労働者には同一の賃金を払うということです。欧米の場合、職務に応じて賃金が決まる職務(仕事)給が基本です。会社が変わっても秘書なら秘書の仕事をずっと続けるということが多いため、「この仕事ならこのぐらいの賃金」という同一労働同一賃金の考え方が定着しています。
日本の場合、正社員として雇用されると社内で様々な部署を経験してキャリアを積ませるという雇用慣行があり、職務内容が変わることが多くあります。部署がかわるたびに賃金が変わるのは都合が悪いですから、その人個人について職務遂行能力、学歴、知識、熟練度など総合的に評価する職能給が一般的とされてきました。
他方、非正規雇用者の場合、仕事は変わらないことが多く、欧米型の職務給的に賃金を決めていることが多いため、正規雇用者と同一にするのは難しいという意見もあるようです。
そこで、政府は、「均等・均衡待遇」という尺度で同一労働同一賃金を目指そうとしているようです。

 「均等待遇」は簡単です。同じ仕事、責任の程度も同じ、異動、転勤、の有無、その範囲、など、すべての条件が同じ非正規雇用者がいたら、その人については正社員とすべての労働条件を同じにするということです。平成28年の厚生労働省の調査「パートタイム労働者総合実態調査」によると、パートタイマー(短時間労働者)に限っては、そのような人は3.2%とごく少数です。
フルタイムの非正規雇用者を入れると割合はもう少し増えるかもしれませんが、多分、それほど多くはないでしょう。
一見、同じ仕事をしていても責任の程度が違う、異動や転勤、休日出勤、残業がないなどで違うとされる場合が多いからです。
そうすると、「均衡待遇」というところが各企業で最も気をつけなければいけない点となってきます。事業主には、正規雇用者と違う点についてその理由を説明する義務が課せられていますから、不合理な差ではないということを説明てきるようにしておかなければなりません。

ガイドライン案では、事例をあげて問題になる、問題にならないとして説明しています。
均衡待遇については、その違いに見合ったバランスという考え方だと頭では理解できますが、現実にどの程度の差なら許されるのかがわからない場合も多いと思います。
ガイドライン案では、考え方の大筋が書かれているだけですから、結局各企業の実態に即して考えるしかないと思います。
ガイドライン案の事例の中で、定期的に職務内容や勤務地変更がある総合職の正社員(ガイドライン案の中では無期雇用フルタイム労働者としている)が、新卒後配属された店舗でパートタイム労働者の指導を受け、同じ定型的業務に従事していても正社員の方が高額の基本給であるのは問題ない事例とされています。
パートタイム労働者は配置の変更もなく、正社員の方はキャリアコースの一環として数年間その仕事をするだけだからです。

しかし、欧米型の同一労働同一賃金のように、同じ仕事をしている間は同じ賃金(時給換算で)とするのがすっきりします。このような現場の場合、パートタイマーは指導的立場にたち自らの経験を活かしていろいろ正社員に教えるのだろうと思われます。その人の方が賃金が低いとは。どのぐらいの差かわかりませんが、働いている人にとってみると何となく不満に思うのではないでしょうか。
「均衡待遇」というのは、どこまでが合理的でどこまでが不合理なのか、なかなか見えにくくわかりにくいです。そんなことを言っている間は、本当の意味での同一労働同一賃金の道のりは遠いなと思うのでした。



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