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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる12年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

同一労働同一賃金への道のり(2)

先週、23日に同一労働同一賃金についてちょっと書きましたが、あれから、私もいろいろ勉強しました。特に、今年6月1日に最高裁が出した関連の二つの判決についても判決文など読み直してみたり、猛暑で外に出ない分(今日は朝からいくらか涼しいです)知識を深める時間にあてることができました。
二つの事案は、両方とも労働契約法20条を根拠に正規雇用者との待遇の差が法律で禁止されている不合理なものであるとした非正規雇用者の提起した裁判です。
どちらも運送会社のドライバーですが、一方(長澤運輸事件)は定年退職後に再雇用され有期の嘱託となったが、同じ仕事なのに一部の手当がなくなり(それに代わり歩合給は引き上げた)賃金が79%に下がった事案、他方(ハマキョウレックス事件)は有期の契約社員として雇用されているが、正社員と業務内容は変わらないのに各種手当(無事故手当、作業手当、給食手当、通勤手当、皆勤手当、住宅手当)、一時金、退職金などが支給されないのは不合理とした事案です。

 労働契約法20条は、働き方改革関連法の成立とともに今後削除され、名称を変更して有期雇用者にも適用となる現行のパートタイム労働法第8条に組み込まれますが(施行は2020年4月1日 中小企業は2021年4月1日)、有期雇用者と正社員の間に待遇の差をつける場合は、職務の内容、配置の変更の範囲、その他の事情を考慮して「不合理であると認められるものであってはならない」としている規定です。
この条文が平成24年に公布されたときに、法律の背景や趣旨などについて厚生労働省から各都道府県労働局長に通達がだされています(平成24年基発0810第2号)。
このとき、同時に有期雇用者が契約更新を繰り返して5年を超えた場合は、申込により無期雇用に転換できるという規定も新設され、私もそちらにばかり目がいっていて、この通達を見逃していました。もともと通達は、行政官の間での運用についての申し合わせのようなものですから、必要な場合しか私も見ませんが。

しかし、今般、あらためて、20条の説明を読んでみて、この度の最高裁判所の判決との一致にちょっと驚きました。
有期雇用者と無期雇用者(多くの場合正社員)の待遇に差があることを前提として、その差は、業務の内容、責任の程度、配置の変更の範囲(異動、転勤の有無など)、その他の事情(労使慣行など)に照らして不合理かどうかを判断するもので、相違があるからただちに不合理というわけではないとしています。
定年後の継続雇用された場合についても言及していて、職務内容や配置の変更の範囲が変更されることが一般的となることを考慮すれば、特段の事情がない限り不合理ではないとしています。

長澤運輸事件で最高裁は、「その他の事情」として、定年制が人事の刷新、コストの抑制などに必要で、退職金、老齢厚生年金の給付なども考慮して精勤手当以外の各種手当(賞与含む)が支給されないことに不合理性はないとしました。
他方、ハマキョウレックス事件では、各手当の支給の趣旨などを個別に考察して、住宅手当以外について有期雇用者に支給しないのは不合理としています。しかし、正社員と同等の権利があるとして、退職金、一時金なども同じにすべきとした労働者側の主張はしりぞけています。
これも、差があることを前提として差があるからといってただちに同じにするわけではないという考え方で、あくまでも、職務の内容、配置の変更の範囲、その他の事情により判断するということです。
と書いている私にも、完璧にはわからない。違いに見合ったバランスの度合いもどのように判断するのか難しいです。
「非正規雇用」という雇用契約について、根本的に考える時期なんだろうなと思います。

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