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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる16年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

希望を科学する

昨日のNHKクローズアップ現代では東京大学社会科学研究所でプロジェクトがある「希望学」について取り上げていました。(希望学についてのサイト参照)

事務所名を「きぼう」にしている私としては、「希望」という言葉には敏感に反応してしまいます。

番組のキャスターが冒頭で「希望というのは個人的な問題であり、社会科学の学問的分野として成り立つんでしょうか」というような意味合いのことを質問していました。

私も「希望学」と聞いてちょっとピンときませんでしたが、確かに今の世の中のどよ~んとした雰囲気には希望が満ち溢れているという感じもしないので、必要な学問なのかなという気がします。

実際、出演していた提唱者の方は、失業率が増え自殺者も3万人を越えるこの国では、希望が喪失傾向にあるけれど、それは先進諸国に多かれ少なかれ共通のことなので、社会的環境によっても左右されるのではないかと考えているようです。

様々な調査により集めた客観的データを分析して、社会科学的に考察を加えていくというような学問のようです。

希望というのは自分で見出すもので人から強制されるものではないと私は思っているので、「希望というのはこういうもんですから、こうして希望を持ちなさい」と個人に対して提唱するということだったら、ちょっと違うだろと思うのですが、社会全体の在り方として、どんな要素が個人に影響を与えるのか、また、個人が希望を持って行動した結果、社会にどんな影響を与えるのかというようなことを調査研究していくということのようなのですね。

 

番組で取り上げていたのは、希望プロジェクトチームが包括的に地域調査をした岩手県釜石市の例でした。

かつて、鉄の街として栄えましたが鉄鋼産業の衰退とともに街の活気もなくなりました。人口減、高齢化に悩みますが市役所職員の1人が釜石を去らずに残っている企業を訪ね歩き、釜石の良さに気付きます。

鉄鋼産業全盛時代に整備された立派な港があること、また、真面目にこつこつ仕事に取り組む人が多く「人材」という宝があることなどを、釜石に残った企業から教えられるのです。

それらを武器に企業誘致に取り組み少しずつ成果をあげています。

希望学ではこれを地域における希望の再生とみています。

そのためには、「ローカルアイデンティティ(地域の個性)の再構築」、「希望の共有」、「地域内でのネットワーク形成」の三つが不可欠としています。

 

アイデンティティの再構築などは個人にも言えることかなと思います。最近いささか停滞気味の私にも効きそうです。

希望学では、家族崩壊、性売買、人体実験、民族殺戮、など過酷な現実にも目を背けない。過去や現在の悲惨な事実に正面から向き合うことなく、未来の希望を語ることはできないとのメッセージを出しています。

うーん、学問というのは極めようとすると多くの山や谷を越えなければならないのだなあと、あらためて思いました。

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